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私は、妙に冷静に思う。
あぁ、学校の天井ってあんな風になってるんだ…。
別に、天井なんて見たくもないし、見ていたとしても別に視界に入ってこない。
でも、今は違った。
目の前には、天井しか見えなかった。
だって、私は確実にこの階段を落下しているのだ。
時間にして約1.5秒。
私という生身の人間が、ライト兄弟も両手をあげて喜んでくれるような見事なフライトだった。
ただ、薄ぼんやりと思うのだが…頭を打ったら確実に別の世界にフライトしていける。
「ねぇ、シッテル?」
「知ってるって何をよ…」
あずきは絵里子に聞き返した。
すると、得意げな顔をして絵里子はこの学校にまつわる怪奇話を語り始める。
怪奇話というのは、確実に7つ以上あるが七不思議として一纏めにされている…どこの学校にでもある様なものの一つだった。
西側の階段は異次元とつながっている。そして、ある日突然異次元へと旅立つのだと。
あずきは、その話を聞いてはいたが聞く耳を持たなかった。
興味なんてないし、それに信憑性もない。
だいたい、異次元に旅立つと云う話が何故広まっているのかですら訳が分からない。
体験者が異次元へ逝ったと云う事は、つまりは居なくなると云う事だ。
居なくなってしまったのなら、誰もそれを証明できないではないか…。
考えるだけでアホらしい。
七不思議なんてそんなもんだ。全国的に有名だからだろうか?
校庭にある二宮金次郎の石像が動くという噂まである。しかし、校庭にあるのは全く聞いた小物ないような名前の銅像で、二宮金次郎は校長室の手前の廊下に埃をかぶっておいてある。
何故、校庭にある前提で噂をつくるのだろう?
馬鹿なんじゃないかとあずきは思っていた。
「……異次元…ねぇ」
「そうよ、異次元よ? い、じ、げ、ん! 怖いと思わない?」
眉間に眉を寄せきりりとした瞳を輝かせながら、絵里子が近づいてくる。
随分と、楽しそうである。
「ある意味怖いわね」
こんな根拠のない噂がはびこる体制が。
そんな事、口が裂けても云えなかった。
「……んん…痛い」
…どうやら、私は階段から落ちたらしい。
妙に背中が痛い。
ジンジンする。
私はゆっくりと、体を起こした。
「…あれ? さっきと…天井が…違う? なんで!?」
まるで、肉食動物の様子をうかがう草食動物のようにあたりをきょろきょろと見回した。
………あれ? いや、信じたくないんだけど…。もしかして。
その、あぁ。いや、その…ち、違うわよ!!
そう、違うの。
いつも居る学校と違う…。
いや、ここは学校…みたいだけど。
何が違うのか…一言で言うなら雰囲気だ。
だって、今のご時世にこんな全面木製の階段なんてそうそう御目にかかれない。
あぁ……神さま、仏様……えっとなんだっけ、長万部だッけ?
まぁ、そんな事はどうでもいいわ!
とにかく、雲の上の偉い人!!!
なんて、アナタ達は意地悪なの!?
あれね、本当の意味での高みの見物ッてやつね?
…なんでよ。
なんで、あんなしょうもない噂が本当なわけ?
信じられない!!
……ここは、異次元だ。
私は、そう思った。
「……落ち着いた」